さよならは別れの言葉じゃなくて。

再び会うまでの遠い約束。
・・・と歌ったのは在りし日の薬師丸ひろ子でも松任谷正隆でもいいんだけど、それでもさよならは寂しくて悲しい。それが人であれものであれ、自分の思いが深くて強いものに対してはなおさらだ。
そんな別れと新しい出会いを繰り返しながら人は生きていく。別れの悲しみのあとには新しい出会いの喜びを祝う。普通の人はそれをうまく乗り越えながら生きていってるんだろうなと思う。
それに対してヲイラはどうか。ヲイラはどうも出会いの喜びよりも別れの悲しみに天秤が傾いている性分らしく、大概はまだ先の話だというのにいずれは誰もが迎えなければならぬ永劫の別れを思っては自らを悲しみ、自分が手にしたもの一つ一つに思い入れがあればそれを手放すことなど考えたくもないという、背中を前にしながら思いっきり後ろ向きに全力疾走し、途中で道を外れてみたり思いっきりすっ転んで痛い思いをしながらもそれでも前向きに走ることを恐れる、なんとも扱い難い、難儀な性格の持ち主なのだと改めて痛感されられた。