「便利屋」ではなくて「技術屋」になりたい。

そんなこんなで好不調の波はあるものの、最近はなぜかプログラミング作業を続けているヲイラであるが、どうも最近
「自分は会社(というか参加プロジェクトに)『便利屋』として使われているのではないか」
という思いが強くなってきた。
確かにSEというのは仕事の幅が広い。顧客からのヒアリングを中心とした要件事項の策定から始まりシステムの検討、実際の業務仕様の設計にシステム設計、各種テストといったSEが中心で行う作業もさることながら営業を通じた顧客やプログラマとの折衝や調整作業、果てはプロジェクトの管理まで行う仕事である。
が、うちの会社はどうもSEを「営業やプログラマがやりたがらないニッチな仕事をよろず引き受ける『便利屋』稼業」と認識しているふしがあり、システム面に対する顧客折衝はおろかその前段階である業務提案資料作成に顧客への実際のプレゼンテーション、システム構築に関する営業を通さない顧客との直接折衝、システム構築に必要なハード/ソフトの価格の算出にシステム構築の実作業(マシン設置や各種ケーブルの配線にソフトウェアのインストール・各種設定)、果ては今ヲイラが手がけているような各種業務/システム運用ツールのプログラミングまでなんでもやらされているのが実情である(ちなみに今作成しているツールの規模は既にほぼ1Kステップに達しているがそれでも完成見込み規模の1/2から1/3である。これがSEが作るべきプログラムなのだろうか?)。
おまけにSEには常に「金」がついて回る。どんなに便利で優秀な機器、優れた技術をもってしてシステム構築を行っても「利益が出ない」なら会社にとっては「メリットのないクソシステム」である。
そのことは営利企業である以上当然のことなのは理屈としては重々承知の上なのだが、ヲイラ的には「自分のもてる限りの知識と知恵を駆使し、また吸収する」ことが第一であって、極論すればそのシステムが原因で会社が黒字になろうが赤字になろうがどうでもいいのである。
だが、現実はそれを許さない。そしてヲイラは日ごと「便利屋」として使われ、作成したシステムについて「どのくらいの利益が出たか」で評価をされている。
ソフト1本買えば費用も工数も大きく減るのに目先のイニシャルコストに目を奪われて自前でそのソフトと同等機能のツールを作ることも珍しくない。ごく一部の例外を除けばシステム構築で一番金がかかるのは人件費だというのにも関わらずだ。
ヲイラはもういい加減こうしたニッチ作業の「便利屋」稼業には嫌気がさしてきた。
年齢的にはすでに不惑を迎えるカウントダウンが始まっている。そして当然若い者の方が知識や知恵を吸収することに長けているのは紛れもない事実だ。
それでもヲイラは利益や費用に関わらず自分のもてる限りの知識と知恵を駆使し、また吸収していく「技術屋」としてこれから先仕事を続けていきたいと強く思うようになってきた。
もう年齢的には「チャレンジ」の領域である。うちの会社にも「技術屋」が集まって日ごと高いレベルの知識や知恵を実経験や稼働テストなどを通じて吸収し、研鑽していく部署があるがそこが既にIT技術者としては「ロートル」の領域に入ったヲイラを受け入れてくれるか、また受け入れてくれたとしてもヲイラがそれについていけるかどうかはわからない。
だが、既に地位や名誉にはほぼ縁がなくなったといっていい年齢に達したヲイラにとって、後は「自分のやりたいことをやって会社生活を全うする」のが最後に残された希望である。たとえ定年まで平社員でもいい。自分のやりたいことをやって最後は笑って会社を後に出来たらどんなに素晴らしいことか。最後まで「技術屋」として最後の日が来るまで仕事を全うできることができたら、ヲイラにとって今やこれ以上の理想の会社生活はない。

転属に関係する希望を会社側が募るのは毎年2月のはじめ頃である。
来年のその頃には今の部署から「技術屋」として仕事の出来る部署への転属を願い出ようと思っている。
今、自分の中にある理想と希望を現実のものとするために。